特殊詐欺とは
特殊詐欺とは、被害者とは対面せず、電話などで信頼させ、指定した預貯金口座に振り込ませたり送金させるなど、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の総称をいうとされています。
手口でいえば、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺などがあります。
長崎県警の発表によると、令和2年上半期の特殊詐欺発生件数は15件、被害総額約7,200万円に上っています。この特殊詐欺の被害が後を絶ちません。被害者の大多数は高齢者だということですが、殆どの被害者が「自分が被害に遭うとは思わなかった。」と述べています。
このように自分は大丈夫だと思っている方がまんまと騙されているのが特殊詐欺の実態です。冷静さを保てば詐欺を見抜けるんじゃないかと思われるのですが、現実はそうもいかないようです。
被害者が「ただただ息子を助けてやりたくて・・・」「裁判になると言われてパニックになってしまい・・・」「誰にも言えずに追い込まれて・・・」と述懐していますが、人は身内や自分のことになると、冷静さがどこかにいってしまうようです。まさしく被害者の心理を巧みに利用しているのがこの特殊詐欺なのです。
特殊詐欺の変貌
財産犯とは、窃盗、詐欺、横領、恐喝、強盗などをいいます。私が警察官時代、若かりし頃は、この財産犯の中で圧倒的に多かったのは窃盗です。空き巣、忍び込み、事務所荒らし、金庫破り、出店荒らし、自販機荒らし・・・等々手口がたくさんありました。毎日窃盗犯捜査に追われていました。
ところが、平成10年頃には「オレオレ」詐欺が台頭してきました。電話で「オレオレ」と子や孫を演じ、高齢者から現金をだまし取る詐欺事件が増加していきました。窃盗事件から詐欺事件へと財産犯の形態が変貌していきました。窃盗事件のように危ない橋を渡らずに電話で騙す手口に変わっていったのです。
このオレオレ詐欺は、当初はもっぱら単独で騙していたのが、次は債務者を装い、債権者役も登場させて「急いで返済しなければどうなるかわからない」などと複数の者が関与する形になっていきました。
そしてその複数型が、それぞれ被害者、関係者、警察官、弁護士などの役割分担を行い、いろいろな形で演出される劇場型犯罪も出てきました。
組織犯罪
特殊詐欺の犯罪グループは組織化されていきました。役割分担としては、電話を架けて騙す「架け子」、口座に振り込ませた金を引き出す「出し子」、直接現金を騙し取る「受け子」、それに架け子を管理する「番頭」、出し子や受け子が持ち逃げすることを防止する「見張り役」、出し子や受け子を募集する「リクルーター役」、金融機関の口座を提供する「道具屋」、マンションなど犯行拠点を準備する「代行屋」など。
これらの犯行グループはさらに暴力団等の犯罪組織の傘下にあったり、連携しているといわれていますが、現在の特殊詐欺グループの役割が細分化され、しかも相互の関係が希薄であるため、出し子や受け子を逮捕しても、主犯格や犯罪組織の上層部の摘発にまでたどり着かないのが現状です。
時代の変化とともに騙すテクニックも変わってきています。新たな手口の犯行が次から次へと誕生しています。騙される人が後を絶たないという現実もあります。まさしくここに特殊詐欺がなくならない理由があるのです。
被害を防止するしかない
被害を防止するには、地道な活動を行っていくしかありません。現在、警察、県や各自治体をはじめ、金融機関、関係機関・団体等が特殊詐欺被害防止のために各種活動に取り組んでいます。
特に私がお勧めするのは次の防止策です。
1点目が録音装置の設置です。長崎県警では、自動通話録音機(特殊詐欺被害防止装置)の無料貸し出しを行っています。これは「この電話は振り込め詐欺等の被害防止のため、会話内容が自動録音されます。」と警告メッセージが流れ、録音される装置です。
この録音装置は犯人からの電話を遮断する上では効果バツグンです。是非、一人暮らしの高齢者の方は使ってみることをお勧めします。(原則1年間、2年まで延長)
2点目が番号非通知着信拒否の設定です。詐欺グループからの電話は、その大半が「番号非通知」から発信しているのが実態です。契約している電話会社で若干に違いはありますが、設定は簡単です。(長崎県警察のホームページにもありますので参照してください。ドコモの場合は、「148」にダイヤル、「1」を押す、設定完了です。)