• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

その地位と覚悟

5月31日、職務上知りえた秘密を漏洩したとして、元鹿児島県警生安部長が国家公務員法(守秘義務)違反事件で逮捕された。報道によれば、この事件は、本年3月に鹿児島県警を退職した元生安部長が、3月28日頃、県警職員が犯した犯罪行為を組織が隠蔽したなどとする文書を他人(札幌市の記者)に郵送したという。

被疑者(元生安部長)は、勾留理由開示手続きにおいて、記者に情報提供したことを認めた上で、「県警本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽しようとした行為が許せなかった。本部長の自己保身を図る組織に絶望した」等と動機面を説明したともいう。

あくまでも報道によるものであるため、この事件を軽々しく評価することはできないが、事実だけを押さえるならば、郵送した文書には、ストーカー規制法違反事件の被害女性の氏名が明かされており、また不祥事の問い合わせ先として前刑事部長の氏名や電話番号等も記載されていた。

この事件が社会の耳目を集めているのは、県警生安部のトップであった元幹部が、県警が組織ぐるみで不祥事を隠ぺいしたと主張しているからである。だからこそ、鹿児島県警への風当たりは強くなっているし、国民が徹底して真実を追及したもらいたいと思うのは当然のことである。

私自身も、警察ОBとして鹿児島県警を庇うつもりは一切ないし、もし、隠ぺいしたことに疑いが持たれるのであれば、徹底して真相解明を行ってもらいたいと思っている。それに、この元幹部の肩を持つつもりもないし、是々非々で物事を観たいと思っている。ただ、私が疑問に思うのは、この幹部の姿勢なのである。

県警では組織のトップは本部長であり、その下に各部長がいる。部長はたたき上げのトップ(都道府県別に差異はある)とも言え、たたき上げの中では一握りの者だけが就くことができる職階である。従って、本部長を補佐する立場ではあるが、県警の最高責任者の中の一人とも言える。

そういう立場の人間であるならば、いつでも覚悟を決めておくべきであろう。もし、組織が間違っていることをしているならば、自分の職をかけてでも闘うべきである。上司(本部長)に対しては、しっかりと意見具申をするべきである。部長まで上り詰めた人間が、保身のために己の地位に汲々とする必要はない。それこそみっともない姿である。いつでも職を辞する覚悟で信念に従って行動すべきである。

今回の事件は報道でしか知りえないから事実関係がどうなのかはわからないし、この元部長が現職のときにどこまで行動したかもわからない。しかし、現職時には信念をもって行動したとは思えないのである。そうであるならば、退職後に縷々主張するのにはどうしても疑問が残る。部下が公益通報として文書等で通報するのとはわけが違う。今回は生安部長という立場の人間である。組織のトップに直に言える立場なのである。

それでは、なぜ現職時に行動を起こさなかったのか。なぜ、そのときに言わなかったのか。肚を据えてやるのがその地位であり、その責任である。度胸の問題でもある。言えなかったとするならば、何をかいわんやである。鹿児島の「チェストー!」の精神が泣くのではないか。

今回、郵送した文面には自己のことは名乗りもせず、不祥事の問い合わせ先として刑事部長を名指しし、ストーカー行為の被害者の実名まで載せている。私としては、この元部長の行動には、どうしても卑怯さというのが拭い去れないのである。

 

 

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