• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

ミツバチを飼育して思うこと

4年目の悲願

最近、SNS(ユーチューブ)で紹介されているように、ニホンミツバチを飼育する人が増えているようだ。商売をするのが目的ではなく、あくまでも個人の趣味の域としてである。

私も趣味でニホンミツバチを飼育しているが、飼育を始めて4年目を迎えている。始めたきっかけは、友人から蜂蜜の素晴らしさと養蜂の面白みを教わり、その熱弁に刺激を受けたからである。

4年前、その友人から捕獲した蜂を分けてもらい、巣箱(3箱)を知人の山に据えて飼育を始めたが、なにせ養蜂に関しては素人であるため、その年は、2箱の蜂群を梅雨時期に絶滅してしまい、残り1箱が絶滅したのは越冬させる前だった。

絶滅の原因は、先に絶滅した2箱は害虫(スムシ)に侵され、残り1箱は幼虫の死(ウイルスが原因か?)が続いたからだ。

その翌年、また友人から分蜂した蜂を分けてもらい、再度挑戦することにした。しかし、その年はオオスズメバチの襲来と自然消滅という形でまた絶滅してしまったのだ。

2年続けて絶滅させてしまい、友人に対して申し訳ないという思いから飼育を諦めようと思ったが、逆にその友人の助言に励まされ、次は飼育する環境(巣箱を設置する場所)を変えることにして再々挑戦することにした。

新たに設置した場所は風通しも良く、適度に日当たりもあり、飼育も順調に見えたが、その年は冬の寒さが厳しく絶滅させてしまったのである。寒さ対策をしっかりしていなかったのが原因だったのだろう。

二ホンミツバチは飼育が難しいと言われている。湿気や寒さ、害虫(スムシやダニ)やウイルスに弱く、西洋ミツバチと比較すると体力的に弱いと言われている。それだけ二ホンミツバチは貴重であり、ハチミツの値段は西洋ミツバチの数倍で取引されているようだ。

ミツバチは、1年に一度、春の時期に分蜂を行う。分蜂とは、女王バチが次の女王バチを生み、子の女王バチが成長した時点で、母の女王バチが半分ほどの働きバチを引き連れて巣を出ていくことをいう。人間社会とは逆の現象である。

蜂を飼育する者としては、この分蜂した蜂群を捕獲し、巣箱を増やしていくことが夢である。分蜂した蜂群は、次の新たな巣を探すために、一旦木の枝などに蜂球をつくって留まる習性がある。通常はこの蜂球を狙って捕獲することになるが、その捕獲も容易なことではない。

高い木の枝に留まったために捕獲を諦めざるをえなかったり、遠くに飛んでいき、行方がわからなくなってしまうことがあるからだ。

これまで分峰を経験せずに3年続けて絶滅させている。それでも諦めずに飼育を続けようと思ったのは友人の助力があるからだ。その友人から励まされ、昨年春、また捕獲した蜂群(4箱)を譲り受け、今度こそはという思いで4年目がスタートした。

ところが、秋の採蜜後、4箱のうち3箱が害虫(スムシ)に侵され、冬を前に絶滅してしまい、残り1箱も徐々に群れが小さくなっていくのが見えてきた。このままでは残り1箱も越冬することは無理だろうという思いがあり、これだけ絶滅が続けば心も折れてしまい、飼育を諦めようと決めていた。

今年に入り、残り1箱の群れは何とか存続していたものの、それも時間の問題だろうと思っていた。ところが、春になると何と活発な動きを見せ始め、蜂群がみるみる大きくなっていくではないか。そして、ついに5月23日、分蜂が始まったのである。

苦節4年、蜂を飼育して初めて分蜂に成功した瞬間であった。しかも、分蜂した蜂群が近くに設置していた分蜂板に留まり、その捕獲まで成功するという二重の喜びを味わうことができたのである。

失敗を繰り返した後の分蜂と捕獲。まだまだ試行錯誤の段階ではあるが、この分蜂は今後の自信に繋がる出来事である。

蜂には感謝

ハチミツの飼育を続けてきたのは、蜜の恩恵に授かることができるという理由もあるが、何といっても蜂が可愛く思えてならないからだ。動きの可愛さだけではない。その生きざまに心を打たれているところがある。

働きバチの一生は一月位と言われている。その一月の寿命の中で果たす役割も決まっている。成虫になってからは、まず卵の世話や巣の補修等に従事した後、最後の1週間を採蜜と花粉集めに奔走する。

なぜ、最後の1週間だけが採蜜に動くのか。それは、外の世界では天敵が多く、種を保存するために若いミツバチを危険にさらさないようにしているからである。

死期を迎えた蜂は飛べなくなる。飛べなくなった蜂は地面に落下した後、死に場所を求めて彷徨い、巣箱から遠く離れたところで朽ち果てていく。決して巣の周りでは最期の姿を見せないようにしているようだ。

僅か一月の寿命の中で必死に働き、一生を終える。天敵のスズメバチがやってくると、1匹では太刀打ちできない相手に対し、集団で取り囲み、体熱で死に至らしめるが、それで寿命は尽きてしまうこともある。

1匹の蜂が一生で採取できる蜜量はスプーン一杯と言われている。こういう蜂の生態を知らなかったら、おそらく蜜の有難さはわからなかっただろう。蜂の飼育をして初めて飼育の難しさを知り、自然の摂理を少しは学ぶこともできた。そして何よりも蜜の尊さを知ったことが大きい。

毎朝、食パンに蜜をぬって食しているが、純度100%の濃厚さは格別である。

 

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