饅頭こわい
古典落語の演目の一つに「饅頭こわい」という笑い話があります。有名な演目ですので、ご存じの方も多いでしょう。
町内の若い男が集まって嫌なものや怖いものについて話をしている。ずっと黙っている熊さんに、怖いものは何かと聞いたら
「怖いものなんかねえ。」
と答える。
腹が立った男たちが本当にないのかとしつこく聞くと、熊さんは、
「饅頭が怖い」
と打ち明ける。
それを聞いた男たちは「ちょいと脅かしてやろう」と計略を謀り、菓子屋から大量の饅頭を買ってきて、饅頭攻めにしようと熊さんを訪ねる。
饅頭と聞いだだけで震えだす熊さんは、布団をかぶって寝てしまう。男たちは熊さんを怖がらせようと「気付け薬だよ」と言って枕元に大量の饅頭を置く。
男たちが熊さんを見ていると、「饅頭がこわい」と言いながら熊さんは饅頭を食べている。
してやられた男たちは熊さんに「オイ、食うのをやめろ!本当は何が怖いんだ!?」
「ここらで渋いお茶が一番怖い」と熊さんは答える。
男たちはまんまと熊さんから騙されてしまいますが、「饅頭がこわい」は熊さんの機知に富んだ回答だと思わず感心してしまいます。
機知に富んだ特殊詐欺対策
特殊詐欺事件が後を絶ちません。最近、県内では「還付金がある。期日を過ぎているから電話で手続きをする」「パソコンがウイルスに感染した。ウイルスを解除するにはお金が必要」等と言われ、金融機関のATMに誘い出され、電話で操作を指示されて現金(電子マネー)を騙し取られる詐欺事件が相次いで発生しています。
この特殊詐欺対策として「騙された振り作戦」というのがあります。要するに如何にも騙されたように装って犯人グループを誘い出し、現金の引き渡し現場で受け子を詐欺未遂で検挙するという手法です。
「饅頭こわい」の演目を聞くと、ふとこの「騙された振り作戦」を思い出してしまいます。熊さんは、男たちから何が怖いか尋ねられたときに既に先を読み、男たちの狙いや行動を利用したのです。熊さんにとってはまさしくしてやったりです。
「騙された振り作戦」でも電話を受けた方(被害者)が相手の意図を見抜くことが必要です。あとは警察と連携し、犯人の行動を利用していくのです。こちらは「饅頭」ならぬ「ケーキ(刑期)こわい」です。