履きなれた靴がついにダメになった
私は毎朝ウォーキングをしています。そのとき履く靴は10年以上使い古したシューズです。長年ジョギングやウォーキングに使っていたため愛着があり、それにフィット感もあって、とても履き心地が良かったのです。
ところが、先月、ウォーキングの途中で足の裏に違和感があり、そこで立ち止まって確認したところ、靴底のゴムが剥がれていました。そのシューズは履きなれていましたので、どうしても別のシューズに履き替えようという気持ちになれず、剥がれた部分だけ切り取り、その後も辛抱強く使っていました。
すると、ついに膝に痛みがくるようになったのです。底が薄くなった分だけクッションの機能がなくなり、直接衝撃が膝に伝わるようになったのが原因です。
それを家内に話すと、「そんな靴は捨てんね!」と言われ、すぐに新しいシューズを買ってもらいました。
昔の言い伝えを守る
つい先日の夕方にシューズを買ってもらったのですが、その日は部屋の中に大切にしまっておき、翌朝に下ろしました。年配の皆さんは、同じようなことをしているのではないでしょうか。
買ったばかりの靴を朝下ろすのはいつもの習慣でした。この習慣は子供のころから躾けられていたことです。貧乏子だくさんの家庭で育ちましたから、つま先に穴が開くまで履いていました。親から新しい靴を買ってもらうのは正月くらいでした。
大みそかの日に母親から新しい靴を買ってもらい、それを枕元に置いておき、元旦になって初めて下ろすのです。母親から新しい履物は朝下ろすものだということを教えられていました。
なぜ朝しか下ろせないのか、昔からの言い伝えだということで、その理由を聞いたことはありませんでした。ずっとそんなものだと思っていました。ですから、新品の靴を買った際には、必ず翌朝下ろすという習慣が今でも身についています。
誰かが買ったばかりの靴を夕方履いて外に出るのを見ると、つい、その人に不吉なことが起こるのではないかと思ってしまいます。
なぜ買った靴を朝下ろすのか
買ったばかりの靴を朝下ろすのは諸説あるようです。
まずは、夕方から夜にかけて新しい履物を履くのは、「お通夜に冥土に旅立つ仏さんに草履を履かせる」ことに通じるから、縁起が悪いという言い伝えがあるようです。
それに「夕方、新しい履物を下ろすと狐に憑かれる」「病気になる」「足が悪くなる」といって、日が落ちてから履物をおろすのを避けていたということです。どうしても夜に下ろす必要があるときは、靴底に墨を塗ったり、かまどのすすをつけたたり、履物の裏を火であぶれば、災い除けになるとされていました。
それに昔は街灯もなく、道路も整備されておらず、足元が悪い中で動き回れば危ないから夜に新しい履物を下すのはよくないという由来もあるようです。
また、昔はどんなものでも神様に感謝にするため、お供えをしてから使用していました。ですから、夜に新しいものを使うということは、「神棚の灯りを消した後、神様に隠れて使うのはバチが当たる」とされていたという説もあるようです。
いずれも、現代からみれば迷信としか映りませんが、現代的に捉えるならば、足元が暗い中で履きなれていない靴を履いて外に出るのは危険だという戒めだと思えば、それはそれで理にかなっていると思います。
しかし、私はそんな単純な理屈じゃないと思っています。子供の頃は、買ってもらった新しい服もきちんとたたんで枕元に置いておき、朝になって着ることができました。新しいものは全て朝になって初めて身につけられたのです(パジャマは夜しかきれないじゃないかと言われるかもしれませんが・・・)。
昔の人は、朝になると神棚にお供え物をし、仏壇にお参りし、朝陽に向かって手を合わせていました。全てが朝から始まっているようでした。朝、新しいものを身につけるのもそこに原点があるような気がしています。
新しい靴を朝下ろすというのは親から教わったことです。そんな私はというと、このことを子供たちには教えていません。既に社会人となって独り立ちしていますが、買ったばかりの靴を翌朝下ろすという感覚はありません。
今となっては、「あ~、教えとけばよかった」と反省していますが、朝から神棚にお供え物をするような親の時代の習慣が私にはありませんので、これも仕方ないことかと思っています。
吉村茂行2024年11月6日 8:17 PM /
私の祖母は朝ではなく、お日様が出ている間は靴下ろし出来ると言ってました。 夜下ろす時は釜のすすを付けて「この靴は新品じゃないよ」と言いながら下ろしていました。