• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

特殊詐欺の国際化

これまでにも特殊詐欺に関する記事を投稿したが、今回も取り上げてみたい。タイ当局がミャンマー国境付近で保護した少年(16・愛知県の高校生)が、「ミャンマーで警察官をかたるニセ電話詐欺に加担させられた」というニュースを目にした。報道によると、この少年はインターネットで「海外での仕事」を紹介され、昨年12月に渡航すると、ミャンマーの犯罪アジトに監禁され、架け子を担っていたということだ。

この少年は、「儲かる仕事がある」と甘い誘いに乗り、現地に渡航して犯行を行ったようであるが、いくらこの少年にわきの甘さがあったとはいえ、少年は国民の国外犯(刑法3条)として犯罪少年に該当する。他方、闇バイトに勧誘されて国外に移動させられた人身取引の被害者とも言える。

今回、タイ警察が急襲したアジトには日本人を含む多数の中国人が監禁され、そこで武装集団からノルマを課せられ、それを達成できなければ暴行を受けていた。武装集団の中にはチャイニーズマフィアやわが国で準暴力団と称されるチャイニーズドラゴンがいたという。

わが国で発生していた特殊詐欺が国を変え、言語を変えて国際化している。それだけ犯罪組織にとっては大きな資金源になるということだ。今回の事件は、おそらく、チャイニーズドラゴンが特殊詐欺のノウハウを中国人に指南していたものと考えられる。

振り返ると、オレオレ詐欺が始まった頃から数十年経過しているのに、被害が一向に減少していない。それどころか、犯行手口も多種多様化し、最近は、投資詐欺による若者の被害も増え、被害額も益々増加している。

警察では、特殊詐欺などを「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による犯罪と位置づけ、その対策を強化していくと打ち出している。また、捜査員が身分を隠して闇バイトに応募し、強盗の実行犯に加担すると見せかけ、集合場所に集まった実行犯を一網打尽にするという「雇われたふり作戦」手法の導入も検討しているという。

しかし、私が現役のときも、通信傍受や「騙されたふり作戦」などの捜査手法を駆使していたが、検挙されるのは末端の実行犯だけで、裏で暗躍する反社の連中の検挙には至らなかった。この種犯罪捜査で難しいのは、秘匿性が高いことと証拠の乏しさである。それが突き上げ捜査の大きな壁になっていた。

警察ОBとして、現役のみなさんには、地を這い、砂を噛むような捜査を地道にやっていってもらいたいと願うしかない。もう一つ大切なことは、騙される人がいるから犯罪組織を助長させているのであって、如何に被害者を出さないかということ。それが犯罪組織にダメージを与えることにも繋がっていくだろう。必死で稼いで貯めたお金を、こういう輩に奪われては元も子もない。自分は大丈夫だと思っている人ほど騙されやすいという統計がある。それは思い込みが強いからだ。自分を過信せず、電話があったら、すぐに誰かに相談することを一人ひとりが肝に銘ずべきだろう。