• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度の創設

相続の相談を受けると、要らない土地を処分したいが、買い手が見つからないということをよく耳にする。

私は、5年前に母が死亡し、田畑や山林の相続問題が浮上したことがある。その土地は五島にあり、私や他県に住む姉妹にとっては要らない土地である。さっそく役場に行き、引きとってもらえないかと相談に行ったが、けんもほろろに断られてしまった。そのときは、実家に住むことを決めた姉が、母の遺産を全て相続することにしたため事なきを得た。

近年、少子高齢化の進展、地方から都市部への人口移動等による過疎化に伴い、土地を相続したものの、そもそも要らない土地を相続したことで負担だけがのしかかり、土地を手放したいと考える方が増加している。また、長年相続登記がされずに放置された結果、所有者不明土地が増加したり、遠隔地に居住していることから管理不全に陥り、近隣に悪影響を与えている土地もある。

平成23年に発生した東日本大震災の際には、所有者不明土地の存在が震災復興の大きな障害をもたらしており、こられの現象は円滑な公共事業を実施していく上でも大きな社会問題となっている。

このように土地を手放したいというニーズの高まりと土地を管理できないまま放置されることによって所有者不明土地が発生することを抑止するため、相続や遺贈によって所有権を取得した方が、土地を手放し、国庫に帰属させることを可能とする制度が創設されたのである(「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」令和5年4月27日施行)。

制度の制限

この制度は、要らない土地を手放したいという方にとっては朗報ではあるが、喜んでばかりはいられない。そこには自ずと制限がある。要するに要件を満たさないと国庫への帰属が承認されないということになる。その制限には、人、物、金の制限があり、これをクリアしなければならない。

〇人の制限(申請権者)

相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により土地を取得した方である。従って、生前贈与されたり、自ら購入された方は除かれる。

〇土地の制限(帰属できない土地)

※申請ができない土地(申請の段階で直ちに却下となる土地)

・建物の存在する土地

・担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

・通路その他の他人による使用が予定されている土地(現に通路のように供されている土

地、墓地内の土地、境内地、現に水道用地・用悪水路・ため池に供されている土地)

・特定有害物により汚染されている土地

・境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

※帰属の承認ができない土地

・崖(勾配が30度以上かつ高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、管理に過

分の費用又は労力を要するもの

・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上にあ

る土地

・除去しなければ土地の管理又は処分をすることができない有体物が地下にある土地

・隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ管理又は処分することができ

ない土地(通行権利が妨げられている土地など)

・管理又は処分するに当たり、過分の費用又は労力を要する土地(国が管理に要する費用

以外の金銭債務を負担する土地など)

〇金の制限(負担金)

法務局から承認通知及び負担金通知を受け、30日以内に10年分の土地管理費相当額の負担金(一筆20万円が基準)を送付しなければ取り消される。

承認への流れ

相続土地国庫帰属制度の申請から承認までの流れは次のとおり

承認申請 → 受付 → 法務局担当官による書面調査 → 法務局担当官による実地調

査 → 法務大臣・管轄法務局長による承認(承認通知、負担金通知) → 負担金の納

付(通知を受けてから30日以内) → 国庫帰属

まずは相談

申請先は承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)である(支局・出張所には申請できない)。

申請には手数料(一筆につき14,000円の収入印紙を貼付)がかかり、却下されたり、不承認となればその手数料は還付されない。従って、まずは法務局に相談し、そのアドバイスを受けてから申請することが肝要である(法務局手続案内予約サービスから予約)。

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