• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

どうする防火対策

大阪・雑居ビルの火災

12月17日、大阪市北区にある8階建て雑居ビルの4階クリニックで火災が発生し、25名が一酸化炭素中毒により死亡しています。

またもや雑居ビルでの火災で犠牲者が出たことを思うと、いたたまれない気持ちになってしまいます。まずは亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

現場はビルが密集した北新地の繁華街に位置し、現場ビルは高層ビルに挟まれた奥に細長い形状をしています。4階にあるクリニックへはエレベーターを使用し、非常口は出入口付近にある1か所だけです。

大阪府警は、61歳の男を殺人、現住建造物等放火事件被疑者として特定していますが、報道によると、男は非常口扉に通じる受付直近において、携行してきたガソリン缶を蹴り倒し、漏れ出たガソリンに点火し、瞬時に燃え広がったようです。

男がガソリンに点火した後、出入口方向に逃げようとした利用者に対して体当たりをしたり、クリニック奥に逃げ込んだ被害者等が戻って来れないよう扉を閉めたり、これらのことを考えると、クリニック利用者等の逃げ道を塞ぐことを意図していたことが容易に推測できます。

また、事前に非常口扉に目張りをしたり、クリニック内にある消火栓の扉を粘着剤で開閉できないように細工するなど、綿密に犯行計画を練っていたことが窺われ、自宅捜索ではそれを裏付ける資料が押収されているということです。

そうすると、男には利用者等に対する強い殺意が窺われ、犯行動機は不明ですが、この事件はクリニック関係者を無差別に殺害しようとした身勝手で残虐非道な犯行であると言えます。

犯行後、男は逃走せずにその場にとどまり、自らも重篤になっていることからすれば、クリニック利用者等を道ずれに自殺を企図していたことも窺われます。

被害者等には何の落ち度もないのに、理不尽な犯行に巻き込まれ、志半ばで逝った被害者や悲しみに打ちひしがれている遺族のことを思うと、痛惜に堪えない思いです。

防火対策

新宿の雑居ビルの火災、京都アニメ放火殺人事件、そして今回の放火殺人事件。いずれも不特定多数の方が犠牲になっていますが、何故、同じようなことが繰り返されるのでしょうか。

今回の事件は、男が現場を熟知し、現場の状況に沿った犯行計画を立て、しかも人間の心理を巧みに利用した犯罪のような気がします。

それは逃げる方向が一方向だけである点を捉え、その線上にある非常口を押さえ、瞬時に燃え上がるガソリンを使用し、そして火源から遠ざかろうとする人間の心理を読み、そのとおり逃げ場のないクリニック奥に利用者を追い込んでいます。

犯罪を未然に防止することは本当に困難です。男がこのような犯行を計画しているとは誰も知る由がありません。それに男は通院を装い、すぐさま犯行に及んでいます。あっという間の犯行だったでしょう。誰も男の犯行を食い止めることはできなかったものと思います。

それならば、どうやって命を守るのか、その対策をどうするのか真剣に考える必要があります。特に狭い雑居ビルなど、避難経路の確保対策に手を打たないと同じようなことが起きないとも限りません。

火災が発生した煙の中には有毒物質が混ざっていますが、最も量が多いのが一酸化炭素です。この一酸化炭素は、ごく微量の濃度で、一瞬のうちに体の機能を停止させ、短時間で死に至ることがあります。

ビル火災や施設火災などの死因を見れば、一酸化炭素中毒死が多数を占めています。ですから、防火対策ではソフト・ハード面ともに煙を避ける対策も大切になってくるのです。

今回のビルは法令に基づくスプリンクラー(油火災や電気火災には適さない)の設置義務はありませんでした。消火設備も使えず、逃げ場のないような状態でどうやって命を守るのか。

人は突発的な事案に対しては、パニックに陥ったり、固まったりして対応できないことがあります。逆に冷静に対応できる人は少ないでしょう。咄嗟の対応力に期待することはできません。

ですから人ができない部分を設備でカバーするしかないのです。この事件後、全国的に雑居ビルに対する消防調査が行われています。

どういう調査が行われているかわかりませんが、避難経路が一つしかないようなビルは全国には数多くあるでしょう。関係部署には避難方法をどうするのかしっかりと検討していただきたいと思います。

もし、改善策として管理者に重い負担がかかるというのであれば、補填する制度も必要ではないかと思います。コロナ禍では命を守る対策として国や自治体が補助金を出しています。火災でも命を守ることに変わりありません。

迫りくる火災(煙)の恐怖に怯えながら、どうする術もなかった被害者のことを考えると、本腰を入れて対策を執る必要があると思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

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