• 主に長崎県、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

行政書士が不正行為(詐欺)に加担

行政書士が詐欺罪で逮捕される

10月12日、長崎市の行政書士と飲食店従業員の女性の両名が、別の知人女性と共謀し、その知人女性が個人事業主と偽り、国の持続化給付金100万円を騙し取ったとして、詐欺罪で逮捕されました。

同事件については、10月29日、処分保留で釈放されていましたが、11月2日、その行政書士と飲食店従業員が共謀し、同女が個人事業主と偽り、長崎市の中小事業者一時金約51万円(2回分合計)を騙し取ったとして、同じく詐欺罪で再逮捕されています。

持続化給付金はコロナ感染拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業継続を支え、再起の糧となる事業全般に広く使える給付金を国が支給する制度です。

前年同月比50%以上の収入減少があった事業者が対象で、個人事業主であれが上限100万円が支給限度額でした。

申請に必要な書類については、屋号、業種、申請者住所、氏名、生年月日、連絡先、対象月、前年の事業収入、対象月の事業収入と前年同月の事業収入、申請者名義の振込先口座の基本情報のほか、証拠書類として確定申告書類、対象月の売上台帳等、申請者の通帳の写し、本人確認書(運転免許証等)を添付することになっていました。

国としては迅速な支給を前提としていましたから、極端に言えば、収入が50%以上減収した月を証明する売上台帳等と確定申告書さえあれば、申請は容易だったと思います。

長崎市の中小企業向け一時金(1期、2期)については、コロナ感染拡大に伴う飲食店の営業時間短縮や不要不急の外出自粛の影響で事業収入が減少(20%以上~50%未満)した事業者が対象で、この申請についても、上記と同様に複雑なものではなかったと思います。

前年の確定申告書と減収したとする対象月の書類をどうやって準備したかわかりませんが、いずれにしろ、女性があたかも個人事業主であり、コロナ禍によって収入が減少したかのように装って、虚偽の申請書類を提出し、給付金や一時金を騙し取ったのでしょう。

行政書士として恥ずべき事件

この行政書士が逮捕されたことを受け、翌10月13日には、日本行政書士連合会会長が

「国民や事業主の皆様には支援を積極的に進めている行政書士全体の信頼を著しく損ねる極めて遺憾な行為であり、当会はこの事態を深刻に受け止めている」

との声明を発表しています。

行政書士が報酬を得て官公署(この場合は中小企業庁や長崎市)に提出する書類を作成することは本来の業務です。恐らくこの行政書士は詐取金から報酬を得ていたものと思います。騙し取った金は大切な税金です。

報道によると、この行政書士は逮捕当初「自分は女性の説明通りに申請しただけ」と弁解し、容疑を否認したようです。被疑者には供述の自由は保障されていますから、否認したとしても何の不利益も受けません。

ただ、同じ行政書士として情けないと思っています。行政書士はプロとして仕事をするわけですから、いくら簡素化された申請であったとしても、実体のある事業者であるかどうかは聴取するだけでもわかることですし、ましてや確定申告書や売上台帳等の証拠書類が実体のあるものかどうかはすぐ見抜けるものです。

あくまでも推測でしかありませんが、この行政書士と女性は知人同士でしたから、この行政書士が虚偽申請の指南役をしていたのではないかという気さえします。

行政書士には「行政書士倫理」という規律があります。その中には

「行政書士は、依頼の趣旨が、目的、内容又は方法において不正の疑いがある場合には、事件の受任を拒否しなければならない」

とあり、当然このような仕事は受けてはならないことになっているのです。

ましてや、長崎市の一時金申請には「誓約書兼同意書」という書面も提出することになっていますし、そこには申請に不正があった場合のことも盛り込まれています。

なぜ、詐欺行為をしたのか、行政書士としてのプライドはなかったのか、そんなことを思ってしまいます。日本行政書士連合会長の声明にもあるように、真面目に頑張っている行政書士が同じように見られるのではないか、そう思うと不本意であるし、そう思われることを危惧しています。

これまで刑事をしてきて、目先に目がくらんで人生を棒に振ってきた人たちをたくさん見てきました。不正からは何も生まれないのに、どの世界にも過ちを犯す人はいます。人間には弱さがあるからです。

今は私も一人の行政書士です。同じ行政書士として、この事件に憤慨しているし、関係者の皆様には深くお詫びを申し上げたいと思っています。信頼を回復していくためには、行政書士一人一人がどうあるべきかというテーマに真摯に向き合うべきだと思っています。

 

 

 

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