子どもはおもちゃじゃない!
大阪府摂津市の集合住宅で3歳児のわが子の頭をクッションで殴打したとして、母親(23)が大阪府警に逮捕されたという記事が新聞紙面にありました。
この母親の交際相手(24)は、その幼児に熱湯をかけて死亡させた殺人罪で既に逮捕・起訴されており、その後、その子に対する傷害及び暴行罪で再逮捕されています。
この交際相手は、野球のバットをスイングすようにクッションで殴打していたということのようです。
しかも、この母親と交際相手は、その子を殴打する様子をお互いがスマートフォンで撮影していました。
以前、撮影された動画がSNS上で流され、社会問題になったことがあります。例えば、飲食店従業員が客に出す食材を目を疑いたくなるような杜撰な扱いをする様子が投稿されていました。しかも、投稿者らは悪びれる様子もなく、ふざけ合いながらやっていました。
この母親と交際相手が撮影していた動画がどういうものかわかりません。しかし、二人ともにやにやしながら、大笑いしながら、嘲りながら、子どもに暴行を加えている様子を想像してしまいます。
この児童が、実の母親とこの男からずっと虐待を受け、最後には男から熱湯をかけられ、短い生涯を終えたことを思うと、不憫でなりません。この母親には、年端もいかないわが子をよくぞここまで苛め抜くことができたなと、不快な気持ちで一杯になります。
「子どもはおもちゃじゃない」人格を持ってこの世に生まれています。恐らくこの母親にも母性があったはずです。この子を産んだときは愛しかったであろうし、この子が歩いたときは嬉しかっただろうと思います。
私には、間もなく11カ月になる孫(女の子)がいます。可愛くて仕方ありません。息子夫婦もわが子を寵愛し、毎日のように写真や動画をじいじにスマホで送ってくれます。
もし、孫が風邪を引いたり、転んで膝を擦りむいたりすれば、それだけでも心配になってしまう自分が想像できます。ましてや息子夫婦はそれ以上ではないかと思います。
児童虐待には身体的虐待、性的虐待、ネグレスト、心理的虐待があるようです。虐待を行う親にも精神疾患や子育てに行き詰まったなど、心理的に追い詰められている場合もあるかもしれません。それはそれで親の心理を理解してあげる必要もあるでしょう。
しかし、この大阪の事例が許せないのは、スマホで動画を撮影していることです。子どもの人格を無視し、親のストレス発散のための道具にしか見ていないような気がします。
子どもは宝です。何故、その宝を粗末に扱うのか、何故、その子の心の叫びを聞くことができないのか、考えれば考えるほど、腹が立ってきます。
児童虐待を防ぐことはできないのか
奇しくも母親逮捕の紙面の横には、「児童虐待対応 連携強化図る 児相と県警、合同訓練」という見出しの記事がありました。
児相と県警など、関係者30名が集まり、「子どもの泣き声が聞こえる」とする住民からの通告を児相が受理したという想定で、児相と県警の職員がその住居に立ち入り調査し、親への対応や児童を保護(一時保護)するまでの手順を確認する訓練のようです。
大阪の事件は集合住宅で発生しています。付近住民も異変に気づいていたかもしれません。通告があっていたのか、虐待を事前に把握していたのか、よくわかりません。
子どもを命の危険から守るため、児童福祉法があり、また児童虐待による痛まし事件が続いたことを受け、児童虐待の防止に関する法律も制定されています。
児童の安全を守るため、これらの法律によって一時保護、出頭要求、立入調査、臨検・捜索等の規定が盛り込まれています。それに関係機関の連携・協力も規定されています。
私も刑事をしてきましたから、相手の人権に配慮しなければならないことも、しかしやるべきときは、しっかりと権限を行使しなければならないこともわかっています。
児童虐待の防止を図っていく主体は児童相談所です。通告を受け、自宅に行ったものの、保護者から抵抗を受けることもあるでしょうし、罵声を浴びせられることもあるでしょう。権限執行に躊躇することもあるかもしれません。本当に現場は大変であることはわかります。
特に児童の一時保護については、監護する親から児童を引き離し、また異なった環境に児童を置くことにもなり、複雑な問題を孕んでいます。
こういう事情があるため、やりすぎだと言って批判の的にもなるし、児童の安全が損なわれると、これまた批判の的になります。
ただ、関係機関の皆様には、不作為によって児童の身が危険にさらされることだけはないように、頑張っていただきたいと思っています。