電子タバコへの切り替え
私が禁煙に踏み切ってから丸4年が経ちました。若いときから何十年も吸ってきた煙草をやめたのは59歳のときです。対馬に単身赴任し、いよいよ定年退職を迎える年でもありました。
当時、私が愛用していたのは紙巻きタバコでした。その頃、電子タバコが流行を見せ始めていましたが、それはニコチンやタールの摂取量を大幅に減らす効果があるため、健康面を考えた人たちが電子タバコに切り替えていたからです。
愛煙家である署員の中にも切り替える者がいましたが、反面、電子タバコでは吸った気がしないという評価や吸引時間が短いという批判もあったため、私は批判の面に重きを置き、従来のタバコに固執していました。
ある日、長女から電子タバコを買ってもらいました。長女は私の健康面を考えてプレゼントしたものですが、私は先ほどの理由からそのプレゼントは使わずに大事にしまっていました。単身赴任であったため、家族から小言を言われることがなかったのも理由の一つです。
そうしたところ、会議のために長崎に出張し、その日は大村の自宅に一泊することになりました。そこでいつものように紙巻きたばこを吸い出したところ、何となく冷たい目線を感じました。案の定、家内は私が電子タバコを使っているかどうか気にしていたらしく、そこから小言が始まりました。
「お父さん、せっかく〇〇(娘の名前)が買うてやったとに何で電子タバコば使わんと?〇〇が可哀そうやなかね。〇〇は、お父さんの健康ば考えて買うてやったとよ。娘の気持ちば考えてやらんね。」
家内の言葉には頷くしかありませんでした。当然の小言でした。娘の気持ちを考えてやれなかった私に大切なことを教えてくれました。
翌日、朝一番の飛行機で対馬に帰ったのですが、さっそく紙巻きたばこは処分し、その日からしまっていた電子タバコを使い始めることにしました。
禁煙に踏み切った理由
私は長年の喫煙歴の中で2~3回禁煙に挑戦したことがあります。どれも途中で挫折してしまいました。長くても1か月もたなかったと記憶しています。周囲から促され、それに呼応するように挑戦してみたのですが、飲酒する機会に人が吸っている姿を見ると、ついつい手を出してしまったことが頓挫した理由です。要するに信念のなさがもたらした結果です。
対馬で電子タバコに切り替え、最初は煙を吸っているような感覚で物足りなさを感じていたのですが、徐々にそれに慣れていきました。
3か月ほど経った頃、電子タバコを加熱する芯を掃除していたところ、その芯が折れてしまい、使えなくなってしまいました。そのため、新たに購入しなければならなかったのですが、当時、対馬では電子タバコが販売されておらず、取り寄せるには数か月かかるということでした。
そこで仕方なく以前愛用していた紙巻きタバコを買い、久しぶりにそれを吸ってみました。すると直ぐに吐き気が襲ってきたのです。いかにも木の葉を直に吸っているような感覚になり、一言で言うならばどぎついという感覚でした。とても吸える代物ではありませんでした。
この紙巻きタバコは以前愛用していたタバコなのかと疑うほどでした。電子タバコに慣れてしまい、以前のタバコが全く別物になっていました。
私は、これを人生の転機だと捉えました。電子タバコの芯が折れたのは、禁煙のサインであり、私にタバコを辞めろという警告なのだと考えました。その前に長女が電子タバコを買ってくれたのも、その前触れではなかったのかという気がしてきたのです。
私は肚を決めました。買ったタバコはぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に投げ捨てました。これまで何回か禁煙に挑戦し、挫折するという経験をしましたが、今回の決意は本物だという強い感情が腹の中から湧き上がってきました。
禁煙を決意し、1週間まではタバコを吸いたいという気持ちがあり、これに打ち勝たなければなりませんでした。10日経ち、飲酒先で人が喫煙する姿を見ると、やはり吸いたい感情が首をもたげ、これを抑えなければなりませんでした。2週間経つと、人が吸っている姿を平気で見れるようになりました。1か月経つと、何とも思わなくなりました。
このようにして私は禁煙に成功しました。今までの禁煙への挑戦はただ単に意志が弱かったのだと思っています。禁煙するために通院し、投薬治療をする人もいるようですが、その必要はないと思います。必要なのは固い意思です。