「水防法」及び「土砂災害防止法」が平成29年6月19日に改正されました。
対象施設の管理者さまは、避難確保計画の作成等が義務づけられています。
令和元年の台風19号では、河川の氾濫等により、多くの福祉施設や病院が浸水被害に遭いました。
しかし、水害を想定した施設の避難計画はまだまだ低調です。
これは過去に災害に遭っていないため、危機感が薄いからだと思われます。
しかし、水害はいつ・どこで発生するかわからないし、想定外の災害が現実に発生しています。
施設管理者の皆さまにおかれましては、まずは危機意識を持っていただき、自分たちの施設の災害リスクを理解し、それを踏まえた対策を講じていくことが大切となってきます。
浸水想定区域や土砂災害警戒区域の要配慮者利用施設(※)の管理者さまは、「避難確保計画」の作成、「避難訓練」の実施が義務となりました。
この計画作成等の義務化は、平成28年に岩手県岩泉町の高齢者グループホームで入所者9人が犠牲となった台風10号の豪雨災害がきっかけです。
浸水想定区域・土砂災害警戒区域の指定
「洪水浸水想定区域」とは、河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域であり、河川等の管理者である国又は都道府県が指定します。
「土砂災害警戒区域」とは、土砂災害が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域であり、都道府県知事が指定します。
※要配慮者利用施設とは
社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する人たちが利用する施設です。
例えば・・・
1 避難確保計画の策定
「避難確保計画」とは、水害や土砂災害が発生するおそれがある場合における利用者の円滑かつ迅速な非難の確保を図るために必要な計画です。
※必要な事項
防災体制 避難誘導 施設の整備 防災教育及び訓練の実施
自営防水組織の業務(水防法に基づき自営水防組織を置く場合)
その他利用者の円滑かつ迅速な非難の確保を図るために必要な措置
2 市町村長への報告
避難確保計画を作成・変更したときは、遅滞なく、その計画を市町村長へ報告する必要があります。
? 避難計画を作成しない要配慮者利用施設の管理者等に対して、市町村長が必要な指示をする場合があります。
? 正当な理由がなく、指示に従わないときは、市町村長がその旨を公表する場合があります。
3 避難訓練の実施
避難確保計画に基づいて避難訓練を実施する必要があります。
職員のほか、可能な範囲で利用者の人たちにも協力してもらうなど、多くの方が避難訓練に参加し、実効性を高める必要があります。
また、ハザードマップを活用するなど、水害や土砂災害に対して安全な場所へ速やかに避難するなど、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの地域の災害リスクの実情に応じた避難訓練を実施することが重要です。