桜の開花が始まり、本県では、現在3分咲きというところだろうか。つい最近まで肌寒さを感じていたが、桜前線の北上とともに汗ばむ陽気の時節がやってきた。そんな折、本日の朝刊に「県内火災 死者最悪ペース」という記事が掲載されていた。
火災の発生時期と言えば、火気を扱う厳寒期に集中する傾向にあるが、今年はどうも勝手が違うようだ。岩手や愛媛、岡山では大規模な山林火災が発生し、大きな被害をもたらしている。冒頭の記事によると、県内では、本年3か月間で火災による死者数が10人に上り、過去10年間では最悪のペースだという。
火災の発生原因は多岐にわたり、原因を特定するのは容易ではない。現役のとき、多数の建物火災事件を取り扱ったが、発生原因としては、放火や人の不注意によるものがもちろんあったが、科学的検証をしても、原因を特定できないことも数多くあった。要するに、人知の及ばないところで発生することもあったのだ。
出火とは、着火した炎が燃え広がり、火災になるための火勢を持った状態のことをいう。このとき、最も怖いのが煙である。火災で拡散した煙は、初めは白く、その後黄色に変わり、最後は黒煙に変化する。火災で発生した煙の中には有毒物質を含んでいるが、中でも一酸化炭素(CO)は最も量が多く、いかなるものが燃えても共通して発生する気体である。微量の濃度で一瞬のうちに体の機能を停止させ、短時間で死に至ることがある。過去に取扱った火災事件では、死者の殆どがこの一酸化炭素中毒死であった。先の死者数10人もこの一酸化炭素中毒死が殆どではないかと推測される。
加えて、煙は水平方向に進む速度が1秒間に0.3~0.8m(人の歩く速さ)であり、垂直方向に進む速度が1秒間に3~5m(早めに走る自転車の速度)と言われ、特に垂直の場合は、人よりも煙の速度が速い。
火災から身を守るためには、まずは人的な出火要因をなくすことが大切ではあるが、火災が発生した場合、初期消火に努め、火勢が増せば、如何に煙を吸わずに避難するかにかかっている。避難方法としては、①タオルやハンカチで口を覆う。②できるだけ低い姿勢をとる。③鼻から吸って口から吐く。④下の階に避難することが基本。⑤エレベーターは使わない。ということを頭に入れておくべきである。