• 主に長崎、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

指揮官の使命

避難計画(非常災害対策計画)に定める項目

介護保険施設等が策定することとされている「非常災害対策計画」は、火災のみでなく、水害・土砂災害、地震等にも対処するための計画です。

この計画は、災害発生時に職員の役割分担や基本行動等についてあらかじめ定めておくものです。なぜ、事前に計画をつくる必要があるのでしょうか。それは、災害時に現場が咄嗟の判断と適正を行動をとるのは困難だからです。

事前の計画があり、それが周知されているからこそ、実際に災害が発生したときに迅速な対応に繋がるのです。

ですから職員全てに行動方針を明確にして、各自の役割分担、とるべき行動等を浸透させ、訓練しておくことが大切となってきます。

非常時災害対策計画では、「施設の立地条件」、「災害に関する情報の入手方法」、「災害時の連絡先及び通信手段の確認」、「避難を開始する時期、判断基準」、「避難場所」、「避難経路」、「避難方法」、「災害時の人員体制、指揮系統」、「関係機関との連携体制」という項目を定めるようにされています。

そして肝心なことは、このような計画書は、災害時に実際に機能することが重要ですから、避難訓練の結果や施設の実態、地域の実情等を踏まえて、常に点検や見直しを行っていかなければならないということです。

いざというとき何が重要か

平成28年8月31日、岩手県岩泉町の認知症グループホームにおいて、台風10号による川の氾濫により9名の入所者が犠牲になりました。そして令和2年7月4日、熊本県球磨村の特別養護老人ホームにおいて、豪雨による球磨川支流の氾濫により14名の入所者が犠牲になりました。

この2つの施設で共通して言えることは、いずれも川の近くに立地しており、しかも市町村から避難準備情報(後の避難準備・高齢者等避難開始情報)が既に発令されていながら、避難行動をとっていなかったということです。しかも球磨村の施設では、2階に垂直避難する前に既に避難指示も発令されていました。

計画を策定する段階では、避難を開始する時期・判断基準については、「避難準備・高齢者等避難開始情報」が発令されたときを一応の目安にしていると思われますが、なぜ災害時に避難行動に移らないのでしょうか。

そこには恐らく人の心理が作用しているのだと思います。「避難準備・高齢者等避難開始情報」が発令されても行動に移さないのは、「これまで川が氾濫したことは聞いたことがないから、大したことないだろう。」等という正常性バイアスがはたらくのだと思います。

災害対策でいざというときに何が重要となるのか。それは指揮官の判断と勇気です。どんなに立派な計画書をつくっても、どんなに訓練をしていたとしても、いざというときに指揮官が指揮をしないことが一番だめなことです。

このときの指揮官が施設長になるのか、事務長になるのかわかりませんが、しかるべく人が指揮をしなければ、職員は行動に移せないのです。仮に深夜に災害の発生が予想されるとき、指揮する人が帰宅するようなことがあっては統制がとれません。やはり、災害に備えて現場で待機する、いざというときには素早く決断し、陣頭指揮をする、こういうことが指揮官には求められます。

そして、指揮官には最悪を想定して行動する勇気、大きなリスクを回避するために多少のリスクを選択す勇気、空振りに終わっても良いと判断できる勇気が求められます。これらの勇気は、全て人の命を守ることにあるのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です