• 主に長崎、佐賀県を中心に元刑事のキャリアを活かし行政書士&災害危機管理に取り組んでいます。

方言 ~なつかしの五島弁~

この意味わかりますか?

みんみんみんみんが入ってみんみんが痛か‼」 みなさん、この意味わかりますか? これは五島(長崎県)弁です。なかでも私の故郷・上五島の方言です。上五島でも年配の方しかわからないと思います。

これを理解するためのキーワードは「みん」です。この6個ある「みん」のうち4個は違う意味を持っています。この意味を説明する前に、まず五島弁の特徴についてお話したいと思います。

五島弁は単語を短く切って言う特徴があります。例えば、自分のことを「おっが」、相手のことを「んが」、ごちそうのことを「ごっつ」、冷たいことを「ちんたか」、飲んだくれのことを「のんぺ」、かわいいことを「みじょか」、ぶさいくのことを「びっつんなか」・・等々。

他にもいろいろありますが、とくにかく言葉を端折ってしまうのです。先の方言に戻ると、1番目の「みん」は「右」のことです。「みぎ」と言わずに「みん」と発音します。

2番目の「みん」は「耳」のことです。「みみ」と言わずに「みん」と発音します。ですから1番目と2番目の「みん」は「右の耳」という意味になります。

3番目の「みん」は「海」のことです。「うみ」と言わずにこれも「みん」と発音します。4番目の「みん」は「水」のことです。「みず」と言わずにこれも「みん」です。ですから3番目と4番目の「みん」は「海の水」という意味になります。

5番目と6番目の「みん」は1番目と2番目の「みん」と同じで「右の耳」という意味です。これらを合わせると、「みんのみんにみんのみんが入ってみんのみんが痛か‼」という五島弁は、「右の耳に海の水が入って右の耳が痛い‼」という意味になります。

今となっては死語となってしまったかのようですが、子供の頃は普通に使っていたことを思い出します。この言葉はもはや早口言葉ですよね。

方言は故郷そのもの

五島を離れて45年が経ってしまいました。段々と五島弁も抜けていき、本土の言葉に染まってしまった感があります。たまに上五島に帰省し、方言を聞くと「あ、あ~故郷に帰ったな。」とつい懐かしさに浸ってしまいます。

そう言えば、若い頃に五島に帰省したときのことを思い出します。長崎のフェリーターミナルの五島行きの待合室にいたとき、あちこちから標準語や関西弁が聞こえてきました。

私は、てっきり関東や関西方面から来た旅行客だろうと思っていましたが、フェリーに乗船すると、どういうわけかその標準語や関西弁が聞こえてこなくなりました。次に聞こえてきたのは懐かしの五島弁でした。

そうです、旅行客だと思っていた人たちは帰省客だったのです。おそらく島の高校を出て、関東や関西方面に進学したり、就職し、お盆に帰省していたのでしょうが、長崎のフェリーターミナルでは格好つけて都会の言葉を使っていたのだと思います。都会への憧れがもたらす現象です。

ところが、フェリーに一旦乗ってしまうと、故郷を前にしてよそ行きの言葉が使えなくなります。「きゃーぶって」(格好つけて)と言われてしまうのがおちだからです。方言は故郷そのものなんです。

方言を大切に

「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聞きにゆく」

これは石川啄木の「一握の砂」に出てくる一首です。東北出身の啄木は故郷を大切にしていました。故郷を偲ぶために上野駅まで東北弁を聞きに行っていたのでしょう。

故郷を離れ、そして年齢を重ねれば重ねるほど故郷を強く意識するようになったような気がしています。方言は、故郷の自然や文化を思い起こさせる原点だと思います。

今、子供たちから五島弁が消えています。教育機関がそういう指導方針なのか、保護者の教育方針かわかりませんが、寂しい限りです。方言だからこそ、うまく伝えられることだってあります。

「とうじんなか」とは「寂しい」という五島弁です。ただ単に寂しいと言われてもどこまで寂しいのかがわかりません。ところが、「とうじんなか」と言われれば、人恋しさがにじみ出ているのがわかるのです。その違いはその言葉を使う者にしかわかりません。

方言は心の表現でもあるのです。だからこそ故郷の方言は大切にしたいし、いつまでも忘れずにいようと思っているところです。

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です